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ケース面接のコツ

そろそろ就職活動が”解禁”ですが、経団連に属していないコンサルティングファームなどは関係なく青田買いしているのはご存知の通り。この業界を目指す方は多く、転職活動市場も活況を呈しています。

私も、米系の経営戦略ファームに属している身として、この業界を目指す方を応援したく、今回はケースのコツを書きたいと思います。

 

とはいえ、ケース問題って何?どんな感じで面接が行われるのか、そして回答を導き出すまでの一般的な流れを詳述しながら、適宜要点を紹介していきます。

 

×月×日、受付で名前を言うと、しなやかな受付の方に導かれ、面接室へ。席には500mlのペットボトルに帽子のようにかぶせられたコップ。外には、あまたある高層ビルの中に埋もれながら、変わらずの輝きを放つ東京タワー。また目線を室内に戻すと、大きく、若干くすんだホワイトボードが一つ。

 

ペンとノートを出し、いつもなら気にしない、それらを置く位置にまでこだわっているそんな瞬間、痛々しいほど乾いたノックの音。

 

面接官の入場。

(Aは面接官、Bは勤務希望者)

A:こんにちは、今日はお越しいただきありがとうございます。

簡単に自己紹介いただけますか?

B:私は・・・・・・(いつも通り熱を込めて発言終了)

A:わかりました。えっと、じゃケースやりますね。突然ですが、私みかんが好きなんですよ。だから、日本のみかんの数出してみましょうか。5分後に戻ってくるので、その時にいくつか教えてもらっていいですか。何か質問あります?

B:ちょっと前提を確認したいです。みかんにもいろいろ種類ありますが、伊予間とかではない、一般的な10個くらい入っているみかん玉の数ということでよいでしょうか?

A:うーん、私も種類までは詳しくないので、お任せします。

B:じゃあ、私も詳しくないので種類問わずでいきます。

A:では、また。(部屋を出ていく)

------------一人になる。以下独り言---------------

B:みかんの数か・・・どうしよ。

 

・そもそも、みかんの数ってなんだ?今存在している数か?消費量か?生産数か?やべ、前提確認してなかった。ちょっと整理だ。

今時間を止めて日本のみかんの所在をつかもうとすると、今まさに食べられようとしているもの、食べられ待ちのもの、保管されているもの。ここまでが家のみかん。その他は、店頭販売中のもの、店の倉庫に保管されている在庫、工場で加工途中のもの・・・運送中のもの・・あれ、きりないな

 

・そもそも、「今の数」とは何かを定義していなかったから、定義しちまうか。どうせ任せるって言われるだろうし。みかんの消費量から考えると、生で食うのもあるけど、店で調理されて出るものもあれば、缶詰やジュースみたいに加工品もあるから、計算面倒だな。

 

・バリューチェーン最上流、つまり、みかんの木についているみかんの数(=みかんの年間生産量)に限定して出してみるか。よしじゃ、アプローチ作るか。

(→日本のみかんの木の数×一本あたりの実の数とメモ)

 

・まずはみかんの木の数か・・・なんかの本で電信柱の数の出し方があったな、それで試してみるか。

 

・日本の面積を40万平方キロとして、山地:30万、平地:10万平方キロ。

 

・みかん農家のテレビ見たことあるけど、そんなに山奥じゃなかったな。

 

・ざっくり、山地を険しい山道だらけの山奥、町道くらいは通っていそうな山間部、ヒトが住んでそうな平地側

 

・平地を山際、内陸、海沿いでそれぞれ同じポーションと仮定して、3分の1づつわけ、山地は山間部、平地側、平地は山際がみかん畑の対象と仮定してみるか。

(=山間部10万+平地側10万+平地山際3万=23万平方キロが今回検討対象、とメモ)

 

・でも当然そのすべてにみかん畑があるわけじゃないから・・みかんって確か四国とか比較的温暖地域の作物だよな。

 

・さらにこの23万平方キロの日本をざっくり北と南の真ふたつにわけて、南だけの半分の約12万を対象とするか。

(⇒(山間部10万+平地側10万+平地山際3万)÷2≒12万平方キロが対象、とメモ修正)

 

・みかんは四国が有名だから、四国やその周辺とは生産量に結構な差がありそうだな

 

・よし、12万平方キロをさらに、東日本(4万)、中日本(4万)、西日本(4万)の3つにわけて、四国を中日本グループに入れて、東日本と西日本の生産量は中日本の半分くらいと考えておくか。

(→東西日本は中日本の数の半分)

 

・よし、じゃ中日本の4万平方キロにみかんの木があるか考えてみるか。当たり前にみっちりみかんの木が生えてるわけないから・・・待てよ、そもそもみかんの木はみかん畑にあるな。みかん畑の数だすか。

 

・たとえば四国は都市の中心部からどれくらい行ったらみかん畑あるかな・・。そういえば、梨で有名な地域の畑とかは駅から車で10分くらいかかったな。時速40キロで10分だと7キロぐらいか、有名な産地でも約7キロ四方で1畑あるくらいかな。すると800畑くらいか。

(→7キロ×7キロ=49平方キロ、4万÷49平方キロ=800畑とメモ

 

・1畑に何本だ?テレビで見たことあったのは、結構広かったよな・・奥がみえなかったもんな。200m×100mの長方形だとして2万平方メートル。30平方センチ四方に1本だとすると、およそ20万本。

(→1畑の面積=200m×100m=2万平方メートル。30センチ間隔にみかん木が生えているとして、30センチ×30センチ=900平方センチメートル≒0.09平方メートル。2万平方メートル÷0.09平方メートル≒20万本とメモ)

 

・それに800畑をかけると、1億6千万本か。

(→20万本×800畑=1億6千万本とメモ)

 

・東と西日本はその半分だったから・・・

(東日本8000万+西日本8000万+中日本1億6千万=3億2千万本とメモ)

 

・で、これに本あたり個数か・・うちのじいさんのリンゴの木は本あたりリンゴ20個くらいあったな。同じと仮定すると、64億個だ!!

(→3億2千万本×20=64億個)

 

------------5分経過----------

A:どうですか?いったん出せました?

B:はい、とりあえず、すみません勝手に日本の年間生産高でだしてみました。64億個でした。

A:そうですか、じゃ、ちょっとそのロジックを説明してもらっていいですか?

B:わかりました・・・・(上段の過程を説明)

 

今日はここまで。で、ちなみに、農林水産省の平成27年における国内のみかん生産量は77万7800トン。みかんの重さは100g程度らしいので(100g=0.0001トン)とすると

77万7800÷0.0001≒78億個

 

まぁまぁ近い推定だったかなと思います。推定値はケタがずれてなければよいレベルです。

 

最後にポイント。

★ロジックの”それらしさ”を作れるか

⇒それらしさを作るために必要な要素は、A抽象化思考×B構造化思考×C一般化思考×D仮説思考です。

ひとつ一つ説明します。

 

A抽象化思考⇒複雑な事柄を単純な事柄におきかえること。例えば日本の形を長方形で考える、人や動物をマルで考える。

 

B構造化思考⇒ズバリ、分解することです。MECEに分けることです。といっても難しく考えることなく、抽象化思考で作ったモノに金網をかけてブツ切れにすればよいのです。豆腐を4×4の金網に通したら16個の豆腐ができますよね。そのイメージです。その金網が、俗にいうフレームワークです。フレームワークというと3C、4Pなど上がりますが、そんなビジネスライクなものだけでなく、タテヨコ、前後、上下、左・真ん中・右、なども立派なフレームワークです。今回は日本を北南にわけ、さらに西・中・東にわけましたが、これでMECEに日本を語れているので、厳密には島しょ地域や沖縄がはいっていないことは申し訳ないですが、日本の地域をほぼMECEにわけるフレームワークです。

 

C一般化思考⇒ズバリ、自分のことに置き換える、です。テレビで見たことあったな、とか、自分のみたこと、やったことと似ているな、それと同じかな、と考えることです。

 

D仮説思考⇒上段の思考は、これでとりあえずやってみよう、という発想がなければ生きません。一般化しようとしても、でも本当にそうなのかな・・とか思うことはあるでしょう。上述でもリンゴとみかんの1本あたり個数は違う可能性も大いにあります。でもそこで止まったら進めないのです。1畑あたりのキャベツの個数とみかんの数はまちがいなくちがいますよね。だって実の成り方が違いますから。でもリンゴもみかんも木の枝に成っていくのは同じです。このように、6割、7割同じなら同じと見切ってトライすることを仮説思考といいます。

 

ここまで見て、自分には何思考が足りなくて解けないのか、それを見つけてみてください。完璧なロジックを5分で作るのは無理です。それは面接官もわかっています。

 

経営コンサルタントの相手は、マジで、社長や役員です。事業会社にいたら絶対に会えない役員とディスカッションします。その時にちょっと待ってください、今はわかりませんはどんなネタでも通じません。医者にかかって、先生にこの病気なんですか?て聞いたらわかりません、てつっぱねられたら信頼しませんよね。一緒です。

どんなお題でも、最低のロジックはある、大きく間違わないくらいの方向性を即座に返答する必要があります。そうでなければディスカッションができませんから。XXについてどう思う?そうですね、それはこんな前提で、こんなことだと仮定すると、こうなんじゃないでしょうか?なるほどね、でもうちの会社の文化では・・・とか言ってディスカッションは進みます。だから、どんなお題も即座に返す必要があるんです。

 

指数計算や単位換算、四則演算が苦手な人は頑張ってください。計算は正確に早く出す必要があります。

でも、最悪それも電卓やネットの換算表があれば、それをつかっていいか聞けば使わせてくれる面接官もいます。エクセルやIphoneでも計算できる世界では、できなくても、それは問題じゃないです。

 

問題は少ない時間で、いったんの答えを出せるか、そのために必要な思考回路があるか、そこをケース面接では見ています。

 

次回は、もっと難しい、本当のビジネスを想定したケースを紹介します。